「しかしこの競走は審議」一覧
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使わずに済めば幸いですが 2002/1/29

 ニュースでは、医療制度改革とか言って自己負担を増やしてますます景気が悪くなりそうな話をしてますな。だいたい、今の医療保険制度ってムチャクチャ複雑。毎月バカにならない保険料を払ってる割には、みんなあまりちゃんと知らないでしょ。今回のお題は健康保険入門。

 

 自分の健康保険証を改めて見てみると、まず、自分の名前や生年月日が書かれたページの下段に「保険者」とあって、自分が住んでいる市区町村の名前が書いてある人。これが「国民健康保険」。胴元は市町村。農業や自営業の人とか年金生活者がこれ。ちなみに競輪選手もここ。散髪屋さんや医師、税理士など、同業者だけで「国民健康保険組合」をつくっているケースもあるけど、基本部分は同じ。

 次に「保険者」の欄が「○○社会保険事務所」とある方。「政府管掌健保」といって多くのサラリーマンが加入してるのがこれ。胴元は国。保険料は会社と本人とが半分ずつ負担してるはず。

 ところが、同じサラリーマンでも「保険者」が自分の会社(または同業企業の団体)「健康保険組合」になってる人がいる。大企業、金融機関、都市部の地方公務員がこれ。国家公務員や学校の先生は「共済組合」だけど実質的には同じ。こちらは自分の会社(または同業企業)だけで健康保険を運営している。「政府管掌健保」も「健康保険組合」もおなじ「社会保険」なんだけど、健康保険組合は、保険料の本人負担を下げたり、高額療養費を本人が申請しなくても自動的に支給してくれるなど、政府管掌健保より有利になってるケースが多い。が、当然、雇用主に資本がないと出来ない話。

 

 さて、この制度では自営業の人がすごく不利になってしまうのにお気づきだろうか。普通、サラリーマンは現役のうちは社会保険だけどトシとって退職すると国民健康保険に加入する。つまり国民健康保険は社会保険に比べて高齢者の割合が圧倒的に高いのだ。これは大半の高齢者の医療費を国保加入者だけで負担することを意味する。

 そこでできたのが「老人保健制度」(なぜか、これだけ保"健"の字を使う)。高齢者の医療費をいったん市町村単位でプールしておいて、社会保険からもそれ相応に拠出金を求める方法が考え出された。この制度では、ある高齢者に医療費が100万円かかったとすると、その人が国保だった場合、国保が負担する医療費は40〜50万くらいだが、その人が社保だった場合、社会保険は200〜300万くらいの支払いを要求されるのだ。国保の不足分を社保で補填してるワケ。会社で、自分の親を健康保険の扶養家族にしようとしてもなかなか認めてもらえないという経験をお持ちの方は多いと思うが、断られる理由が分かるでしょ。

 まあ、経済が右肩上がりの頃は、少々高齢化社会が進行しても釣り合いがとれたのだけど、今はリストラで社員が減って社会保険の保険料を負担する人も減ってしまい、いっぺんに収支が悪化。健康保険組合をやめて全社員を政府管掌健康保険に移してしまう会社がでたり、会社そのものが合併したり倒産したりとかで健康保険組合は減る傾向。不景気やのお。

 

 だが、こんなご時世にも次々と健康保険組合を新設してる業界がある。いまどき健康保険組合を新規で作るって、よっぽどリキのある会社でないとできんよ。儲かってるのねえ。

 で、その業界はどこかというと「消費者金融」。「お自動さん」も「黄色い看板」も自前で健康保険組合作ってます。今の日本で一番景気がいいのはサラ金らしいですな。まあ、その儲けは、保険証は病院より無人契約機で使う方が多いヒト達が支えてるワケですけど。


何のための構造改革 2001/7/20

 大阪府の南部にある泉大津市が、今年度30億円以上の歳入不足で赤字再建団体転落(=市役所の「倒産」)が確実なんだとか。関空の地元、泉佐野市も再建団体転落は「時間の問題」らしい。長引く不況で、証券・生保・銀行と今まで「固い」と言われてきた業界に再編の波が押し寄せてきたワケやけど、どうやら銀行の次は地方自治体やな。もういい加減に不景気ってのはカンベンして欲しいもんなんだが。

 

 いつの頃からだろうか、日本が「このままでいい」と思っている人がほとんどいない状態になってしまった。以来、「政治改革」「行政改革」「税制改革」・・選挙のたびに「改革」を唱えるヒトに人気が集まるってことを繰り返している。で、今回のトレンドが「構造改革」なのだが、正直言ってウンザリしている。これで景気が回復するワケがないからだ。

 

 こと景気対策について、政府がやってきたことはずっと「企業収益を改善させる」ことだった。これは代々、首相が替わっても与野党が入れ替わっても一貫している。公共事業も規制緩和も直接的には企業に収益を上げさせることだし、今の内閣の言う「構造改革」も結局は企業収益の改善策でしかない。「所得倍増計画」の頃ならいざ知らず、もうこの手はとっくに行き詰まっているのだ。企業活動より個人消費の方が、経済に占める割合は大きいということは分かっているのに。

 

 今の不況の最大の原因は消費税だ。3%を導入したらその2〜3年後にバブルが崩壊、5%に上げたらその2〜3年後にデフレ発生。事実がハッキリと示している。消費税導入時は「高齢化社会が来れば大型間接税がないと日本は立ち行かなくなる」などと言われたが、消費税導入後の方が、はるかに国や地方自治体の借金は増えているし、よっぽど日本経済が立ち行かなくなっているじゃないか。
 「構造改革無くして景気回復はない」っと吠えて人気してるヒトがいるがとんでもない。「痛みを分かち合う」というと聞こえはいいが、一般庶民はもう十分に痛んでいる。これ以上個人消費者が痛んだら、待っているのは景気回復どころか恐慌だ。「構造改革」をいうなら、大型間接税に頼らなくてもいい財政構造を作らないとダメなのだ。

 

 さて、冒頭の泉大津も泉佐野も、今年度限りで競輪事業からの撤退を表明してるのだけど、そりゃ"本家"が潰れかかってるんやから競輪どころではないわな。景気回復を待つしかなさそうなのだけど、それも望み薄だしなあ。自分がこんなトコで何を言っても、次の参議院選挙は、あの「らいおんはーと」のオッサンが勝ってしまうだろうしなあ。


球春 2001/3/26

 松戸ばっかり見てるとカネが減って仕方がなかったが、折しも開幕した甲子園なら大丈夫。あ、もちろん競輪ではなく野球の話(注:野球とばくは違法です)。ところで、今どきは高校生でも当たり前のように投げているフォークボールだが、「実はフォークボールってのは目の錯覚だ」と言ったら信じるだろうか?

 

 そもそも変化球ってのは、大気中でボールに回転を加えると進行方向に対してボールの回転と同じ向きに曲がる力がかかるという、物理学の原理(と言っても、くわしい原理はわたしも知らんが)を利用している。たとえば、右回り(時計回り)の回転をボールに与えると、ボールは進行方向に対して右向きの力が加わる(右投手のシュート)わけ。

 

 ではストレートはというと、ピッチャーはボールの縫い目に人差し指と中指を引っかけて2本の指で押し出すように投げるから、ボールはバックスピンがかかった状態になる。先の変化球と同じ原理で行くと、ボールには地球の引力に反して上向きの力がかかる。ストレートってのは、重力に反して落ちないボールなのだ。

 

 これに対して、フォークボールは人差し指と中指でボールを挟んで、ボールに回転がかからないようにして投げる。ボールに回転がないと、あとは万有引力の法則に従うだけである。フォークボールは、単に放物線を描いているだけなんやて。

 

 日本のプロ野球より、メジャーリーグで使ってるボールの方が少し大きいって話は有名だが、ボールが大きいと受ける空気抵抗も大きくなる。空気抵抗が大きいと、ボールに回転を加えても進行方向を曲げる力が弱いので変化球が曲がらない反面、フォークボールは良く「落ちる」。フォークボールを武器にしている野茂佐々木が初めからメジャーで通用し、スライダーが武器の長谷川が丸1年かかったのは、このせいだったのかもしれない。

 

 さて「通用するわけないやろ」という下馬評に反して、意外と打ってる新庄クン。日本では変化球の前に空を切ってばかりの彼のバットだが、あまり変化球のないメジャーではひょっとして・・。ま、どうでもいいか。どうせ今年も阪神最下位は鉄板なんやしなあ。


ON対決の影で 2000/10/22

 プロ野球は日本シリーズの最中だが、大阪では、南海ホークスが練習グランドに使っていた中百舌鳥(なかもず)球場が取り壊されようとしている。

 

 ホークスがダイエーに身売りされた後も、中百舌鳥球場は地元の草野球チームや高校の野球部に使われていたのだが、敷地ごと売却されてしまうらしい。

 

 関西では、当然阪神ファンが多数派なのだけど、大阪南部には南海沿線ということもあってか根強いホークスファンが残っているのだ。去年のダイエーの優勝以来、隠れファンが表に出てきて、すごく嬉しそうに日本シリーズで盛り上がっている。阪神ファンとしてはうらやましい限りなんだけど、本人たちは、南海の名前でないのはやっぱり寂しいらしい。

 

 今のホークスに、"中百舌鳥で練習した選手"ってどれくらい残ってるのかなあ。


19 対 1 2000/9/12

 今回の東海地域の集中豪雨はすさまじかったな。被害に遭われた方にはお見舞い申し上げます。しかし、ニュースを見ていてふと気になったことがあった。「ところで今、沖縄へ行ってるハズの台風はどうなった?」

 

 NHKのニュース10を見てたら、トップはやはり豪雨。被害の状況やら新幹線立ち往生などを解説して約19分間。その次が台風だったのだが約1分間。他局のニュースも似たようなもの。そりゃ確かに沖縄より名古屋の方が大都会だけど、どうも中央の人間って沖縄を軽く見てない?。

 

 「基地」が大きな問題になって、ひと頃ニュースにもなったけど、あの話はどこへいったんやろ。普天間基地とかはまだ未解決のハズなのだが、今や都会の人間は「沖縄サミット」すら忘れてる。

 

 なんだか少数派が切り捨てられていく現実を見せられた気がして、ちょっとブルーになった。