「25%」のゆくえ
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ぼくも競輪のお世話になっていたんですね 1998/5/28

 滋賀県大津市が、児童福祉(特に障害児福祉)の分野では、全国的に有名なのをご存じだろうか。

 大津市では、市内の乳幼児の全員を対象に体と心の健診を行った上で、障害またはその恐れのある子供には早期からフォローするという事業を何十年も前から続けている。障害の発生を未然に防いだり程度を軽く済ませることが出来るのが目的なのだが、全員をもれなく把握するところに意義がある。

 いわゆる"障害児"が生まれる割合は出生数に対して一定なのだが、その割合は、実はこの大津市の事業によって発見されたのだ。いまでも、全国の自治体関係者が大津市へ視察に行くという。

 

 もちろん、この事業には莫大な経費が掛かる。大津市が他の市町村より飛び抜けて税収が多いわけがない。この経費が何処から捻出されているかは・・。明日から6日間、たっぷり協力してしまうんだろうなあ。


金網の向こう側 1998/5/5

 先日、競輪場勤務という人(大学の先輩に当たる人なんですけどね)と飲む機会がありまして、こんなチャンスは滅多にないと、いろいろ話を聞かせて貰いました。車券作戦の足しになるかどうかは「?」ですが、いくつか紹介します。

●インサイダー

 「宮杯」や「親王牌」といった冠のついた大会には宮家の人も招かれるのだそうだ。で、貴賓席に招かれた宮家が5000円を差し出して「いいレースないか?」と聴くのだそうな(宮家にしちゃ金額がセコイな)。招いた側は、番組編成課の職員を中心にこれと思うレースを予想して、買い目を進言するなどということが行われているというのだ。

 しかし、この進言は当たったためしがない

 もうすぐ宮杯。今年もびわこの貴賓席では大津市の職員が、宮家を前にして冷や汗をかいているんだろうか。

●テレビの威力

 競輪中継を地上波のテレビで放映するのにかかる費用はン百万円。しかしテレビ中継をやると、ヒラでも電投で1億売れるという。テレビ中継がないときだと2〜3千万。楽勝で採算がとれる。しかし、ド平日の昼間に競輪中継見てるヤツがそんなにおるんやな。

●広報

 大抵どこの市役所でも「広報紙」を発行していると思う。岸和田市の場合は月に3回発行されている。他の競輪場を持っている自治体はどうなのかは知らないが、岸和田市の広報には競輪の開催日程は載ってない。

 以前、競輪場の担当職員が広報課の担当職員に、広報に開催日程を載せるよう話を持ちかけたことがあったそうだ。
競輪場職員「こっちは年に10億円も稼いでんのに、広報にも日程くらい載せてくれよ」
広報課職員「あほう、市民からカネ巻き上げてどないすんねん。市外から金とってこい

●採算ライン

 競輪の1開催6日間でどれだけの売り上げがあれば採算がとれるのか。

 ズバリ「23億円」。もちろん、この数字は岸和田のモノなので他の競輪場ではそれぞれの事情で若干の差はあるのだろうが。

 岸和田の場合、年間平均ならなんとかクリアできる数字なのだが、問題は「阪南三市(泉大津・貝塚・泉佐野)」の開催の場合。岸和田市以外の自治体が開催する場合、競輪場の使用料として売り上げの4.25%を岸和田市に支払うことになっているらしい。テラ銭25%のうちの4.25%を取られては採算割れだ。

 西宮・甲子園のように事務組合にして収益を分配する方式にしろという阪南三市。事務組合では、せっかく特別を誘致したり記念の売り上げを伸ばしても旨み半減の岸和田市。結局S級シリーズや正月開催など売り上げの多い開催を、阪南三市に回して利益を確保してやることで折り合いがついているらしい。

●出目

 ここだけの話だが、統計を取ると、岸和田の最終レースは枠1−6枠3−4で決まることが多いそうだ。ボロボロに沈んで迎えた最終レースなんて時には、これで1発リセットを狙え。

・・って、こんなこと書いたとたん全然来なくなるんだろうな、きっと。


クローズアップ現代 1997/11/27

 今日のNHK「クローズアップ現代」は、赤字の公営ギャンブルを抱える自治体がテーマ。パチンコやJRAが売り上げを伸ばす中、地方の三競オートは売り上げが減り、高知競馬などは多額の累積赤字を抱えているという。ご覧になった方も多いと思う。

 競輪では観音寺市が取り上げられ、以前は税収以上の競輪収益があったが去年は4億円にまで落ち込んで・・という内容だった。観音寺市の経営努力や行革のとりくみが紹介されたのだが、わたしの率直な感想を一言。

 

え? 観音寺ってまだ4億円も黒字やったの?

 

 おまけに来週に迫ったふるダビもNHKで宣伝して貰ってよかったね > 観音寺市殿

 競馬が大赤字の高知、競艇が地元の総スカンをくっているボートピアが取り上げられたのに対し、直前の"大レース"を取り上げられた競輪の扱いはオイシイなあ。NHKもBSでグランプリやるために伏線張ったんやろか・・。


岸和田記念でヤラれたみなさんへ 1997/11/03

 ときは岸和田記念の真っ最中。全国のバクチ好きの輩たちが、岸和田競輪場にお金をぶち込んでいた丁度その頃、岸和田市内の某所で岸和田市立保健センターの竣工式が行われていた。

 鉄筋3階建てのこの施設、岸和田市民の健康診査や健康教育などを行うほか、育児に困っているお母さんや介護の必要なお年寄りのいる御家庭へは、ここから保健婦さんや訪問指導員が派遣される。市民の福祉と健康を守る拠点となるのだ。

 この施設の建設費は、建物と内部の備品を合わせるとおよそ32億円。今のご時世、地方自治体の財政なんてどこも火の車で岸和田市も例外ではない。まあ半分くらいは国や府の補助金だの交付金だのがあるらしいが、それでも残りは岸和田市の独自の財源で賄わなければならない。実はその金を工面したのがあのダービーだったらしい。

 岸和田ダービーの収益金のうち、開催経費や自転車振興会への交付金、震災復興への拠出金などを差し引いた岸和田市の純手取りがおよそ18億円。ちなみに前回岸和田で特別競輪をやったのが平成4年の全日本選抜。その後、オンボロだった市民病院がピカピカに新築された。特別をやるたびに公共施設が充実していく

 そう、厚生省基準の2倍の保母さんがいる0歳児保育も、大阪府下で唯一、無料で来てくれるホームヘルパーさんも、最近とってもきれいになった岸和田駅も(春木駅は汚いままなのに)もとは競輪客の懐にあったお金で賄われているのだ。

 岸和田では今月末に市長選挙がある。岸和田記念の最終日に現場参戦される方は、閉会式の挨拶に市長が出てきたらこう野次ろう。

 

「しちょ〜、特別競輪誘致するって公約してくれえ」

 

 今日、岸和田記念でヤラれたあなた。あなたの懐にあったお金は、岸和田市民のいのちとくらしを支えるために使われることでしょう。岸和田市民の1人として厚く厚く御礼申し上げます。あ、もちろんわたしも、今日は市民税を納めて参りました。わたしの愛する岸和田市が、もっともっと福祉の充実した街になりますように・・。

(あの保健センター、正面玄関の窓ガラス分くらいは元はオレの金やなあ)


古館のけいりん実況中継 1997/10/02

 オールスター競輪の決勝戦、実況中継のアナウンサーに古館氏が起用された。

 彼の実況中継に関して、競輪客の反応は○×両論。ま、彼の場合はF1の実況の時にもファンの間では意見が分かれたし、それが彼の個性だとわたしは思うんですけどね。

 わたしは彼の実況はよかったと思いますよ、確かに、中野浩一の好アシストに助けられた部分はあるけどね。「競輪のこと、勉強はしてたな」というのは感じたもの。「たくましき青二才伊藤保文」ってのは彼のプロレスやF1の実況を知らない人には馴染めないだろうけど、「4コーナーのヒットマン後閑信一」はウケたよ。

 彼の実況を酷評してる競輪ファンもいるようですが、少なくとも直前のレースまで実況してた、もともと競輪担当の某アナよりは上手かったと思うぞ。

 次の寛仁親王牌や競輪祭でも彼の実況が聞けるなら、楽しみにしたいと思いますね。


施行者の"経営努力"

岸和田市議会で、こんな文章が採択された。

自転車競技法の一部改定等を求める意見書

 

 長い間期待されている景気の回復は、一部ではその兆しを見せているとの報道がなされているものの、未だにはっきりとした回復基調の実感はなく、依然として厳しい状況が続いている。

 競輪事業においても、平成4年度から車券売上高、入場者数とも減少が続いており競輪施行者は、施設の改善や車番投票制度の導入などファン層の拡大に努めているほか、開催経費についても合理化や節減の徹底を図っているが、現在の運営状況には厳しいものがある。

 昭和23年に、地方公共団体発展のための財源確保策として始まった競輪事業は、平成10年には創立50周年を迎える。しかしながら、地方財政の健全化を図るという自転車競技法の目的にそぐわない赤字の競輪施行者が、平成7年度においては全体の16%を占めるまでに至っている。その厳しい状況下において、事業収入の中から支出する日本自転車振興会等に対する交付金の比率は、昭和37年に現行の自転車競技法が制定されて以来改定されたことがないから、これらを現在の売上高に見合うものに改めることが急務と思われる。

 よって、本市議会は、政府に対し、自転車競技法第10条第1項第1号及び第2号に基づく日本自転車振興会に対する1・2号交付金については、現在の売上高に見合う適正な区分及び比率に改定するとともに、同法同条第2項に基づく自転車競技会に対する交付金についても、その見直しを図られるよう強く要望する。

 

 今、競輪ほど「お客さん」のほうが売り上げを心配している業界はないんじゃないだろうか。パソコン通信やホームページでお客の立場の人たちが競輪の改革を真剣に議論しているのを見かけるし、競輪場でも、レースで人気選手が審議対象になると「○○を失格にしたら明日の売り上げが減るぞぉ」なんて類のヤジは珍しくない。

 さて、この意見書だが、ふだん競輪に手を染めている方はどう読まれるだろうか。現に赤字を抱える施行者に対してはわたしも何らかの制度上の対策が必要と思う。「全国に50カ所もの競輪場は多すぎるのでは?」というご意見もあると思うが、わたしは50カ所あるのが競輪の魅力の1つだと思う。たとえばJRAの場合、競馬場は全国に10カ所。しかもG1馬のような1流どころは新潟や小倉では走らない。でも競輪なら吉岡・神山クラスが小松島市や弥彦村でも走ってくれる。赤字を理由に競輪事業から撤退する自治体が出てきているが、やはりそれは競輪界全体から見れば損失だと思う。

 この意見書が、たんなる「施行者と日自振のパイの奪い合い」で終わらないことを願いたいのだが・・・。

 

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